日本の税制

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税金

税金 とは、国や地方公共団体が公共サービスなどを提供するために、国民や企業から徴収するお金 のことです。

公共サービスとは、警察・裁判所・消防・公共交通や、公益事業である水道・ごみ収集、公共事業である公立学校や公立図書館といった、さまざまな物を含みます。また、社会保険も含まれています。

集められた税金は、こうした公共サービスの提供などに使われます。また、税金には、政府が所得再分配や景気対策を行うための手段としても使われます。

経済活動による税の分類

さまざまな経済活動に対して、税金が課せられています。経済活動の内容によって、所得課税、消費課税、資産課税等、の3つに分類できます。

所得課税

所得課税とは、個人や法人の所得に課せられる税金です。所得とは、収入から経費を引いたもので、実質的な儲けを表します。

所得に応じて税率を変えたり、所得に応じて控除などの優遇措置を設けることで、所得による負担調整ができています。所得の再配分機能があると考えられます。

所得課税の代表例は、所得税(個人の所得に課税)、法人税(法人の所得に課税)です。他に、住民税や事業税などもあります。

消費課税

消費課税とは、商品やサービスの消費に対して課せられる税金です。

代表的なものは消費税(消費全般に課税)ですが、たばこ税、酒税、自動車税、揮発油税(ガソリン税)のように、特定の商品に課せられる税もあります。また、関税も、消費課税の一つです。

資産課税等

資産課税等とは、資産の取得、保有、移転などに対して課せられる税金です。

固定資産税や相続税・贈与税などが該当します。

資産を持っている富裕層に対する課税という性格が強いため、所得課税と同様に、所得の再配分機能があると考えられます。

課税主体による税の分類

課税をするのがだれか、によって、国税地方税 に分類することもできます。

国税

国税とは、国が課税主体となっている税です。

所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税などが該当します。

地方税

地方税とは、地方公共団体が課税主体となっている税です。さらに、都道府県税と市町村税に分けられます。

都道府県税には、都道府県民税(住民税)、事業税、不動産取得税、自動車税などがあります。

市町村税には、市町村民税(住民税)、固定資産税、軽自動車税、事業所税、都市計画税などがあります。

地方税は、地方の行政や施設に関連するものが基本です。例えば、住民税や事業税、固定資産税は、その地域の行政サービスを行うためのものですし、自動車税は道路の維持補修などを行うためのものです(用途を限定しているわけではないですが)。地方税でないものが、国税となります。

国税か地方税か

FP3級の試験では、「固定資産税は国税か地方税か」「所得税は国税か地方税か」といった問題が出題されることがあります。

地方に関係するものは地方税、それ以外は国税、というイメージをベースに考えると、どちらかわかりやすくなると思います。

税の目的による分類

税金は、特定の経費にあてるために課される目的税 と、特に目的を定めない 普通税 があります。ほとんどの税は普通税です。

目的税の例はあまりないですが、FP3級の試験に関係するものでいえば 復興特別所得税 があります。

復興特別所得税 は、「東日本大震災からの復興」の財源確保という目的で創設されました。2013年から2037年までの間、所得税額の 2.1% が復興特別所得税となります。

復興特別所得税は、所得税のところでもう少し詳しく見ていきます。

納税義務者による分類

税金は、納税する人(納税義務者)と実質的に税金を負担している人が同じかどうかで、直接税間接税 に分類することができます。

直接税

直接税 とは、納税義務者が、直接自分で納める税金 です。

直接税には、所得税、法人税、相続税、贈与税などがあります。相続税は相続をされたら自分で税金を納める、贈与税は贈与されたら自分で税金を納める、ということです。

間接税

間接税 とは、納税義務者と税金を負担する人が異なる税金 です。

間接税には、消費税、酒税、印紙税などがあります。

消費税については、「消費税を払っているのは自分だから、直接税じゃないのか?」と思う人もいるでしょう。しかし、実は、消費税は、モノを売ったお店(事業者)がまとめて納めています。納める義務があるのは事業者ですが、実際に負担しているのは消費者なので、消費税は間接税です。

酒税は、お酒の製造者が納税義務者です。消費者が払っている(負担している)ので、酒税も間接税です。

消費税は直接税ではない

FP3級の試験では、「消費税は直接税か間接税か」という問題が出題されることがあります。

上の説明の通り、消費税は間接税ですので、間違えないようにしましょう。

税金額の決定方法による分類

税金の額の決定方法には、大きく分けて 申告納税方式賦課課税方式 があります。

申告納税方式

申告納税方式 とは、納税する人が、自分で税額を計算し、申告・納税する方法です。所得税や法人税などはこの申告納税方式です。

賦課課税方式

賦課課税方式(ふかかぜいほうしき)とは、納税する人ではなく、国や地方公共団体などが税額を計算する方法です。住民税や固定資産税は、この賦課課税方式です。

税率の違いによる分類

税金を計算するときには、通常、課税する対象を決めます。この対象を、課税標準 といいます。

税金は、この課税標準に税率を掛けて計算します。

税金によって、税率の決め方が異なります。いくつか種類はありますが、ここでは代表的な 比例税率超過累進税率 を見ていきます。

比例税率

比例税率 とは、課税標準と税額が一定の割合である税率 のことです。

例えば、2021年時点では、消費税は、原則 10% です(商品によっては 8%)。1万円のモノを買っても、1億円のモノを買っても、税率は同じです。

比例税率が適用される税金は、消費税の他、住民税や法人税などがあります。法人税は会社の区分によって税率は違いますが、同じ区分なら税率は同じです。

超過累進税率

超過累進税率 とは、課税標準を何段階かに分け、段階を超えるごとに、順次高い比率を適用する税率 のことです。課税標準が大きくなるにつれて、税率が大きくなっていきます。日常的には、このような課税方法を「累進課税」ということもあります。

超過累進税率が適用される税金には、所得税、相続税、贈与税などがあります。例えば、所得税は、所得が大きい人ほど税率が高くなります。所得税の具体的な計算は、別のページで見ていきます。

問題を解いてみましょう

例題

固定資産税は地方税である。

Answer


正しい記述です。

例題

所得税は国税であり、法人税は地方税である。

Answer

×
所得税も法人税も、どちらも国税です。

例題

税金を直接税と間接税に区分した場合、消費税は直接税である。

Answer

×
消費税は間接税です。