セーフティネット
セーフティネット
もし、銀行が破綻(はたん)した場合、私たちがその銀行に預けていたお金はどうなってしまうのでしょう。全財産が引き出せなくなってしまうのでしょうか。そんなことになったら、こちらの生活まで破綻してしまいますね。
万が一、金融機関が破綻したときに、預金者などを保護する仕組みがあります。この仕組みのことを、セーフティネットといいます。
セーフティネットのうち、保険に関連した「保険契約者保護機構」は、保険のところで出てきました(参考:保険制度全般)。ここでは、「預金保険制度」と「日本投資者保護基金」について見ていきます。
預金保険制度
預金保険制度 は、金融機関が破綻したときに、顧客の預貯金を保護する制度です。預貯金のページ でも見ましたが、ここでもう一度見ておきましょう。
預金保険制度の対象となる金融機関は、国内に本店のある銀行や信用金庫などです。民営化後のゆうちょ銀行の貯金も対象です。
民営化前の貯金は
民営化前の貯金は、国が保護します。預金保険制度の対象ではありません。
ただし、海外支店や、外国銀行の国内支店に預け入れた預金は対象外です。
預金保険制度の対象となる預金は、2種類あります。
1つ目は、決済用預金 です。決済用預金とは、「利息がつかない、いつでも引き出せる、決済に使える」 の3つの条件を満たす預金です。それぞれ、「無利息・要求払い・決済サービスの提供」と言い換えることもあります。例えば、当座預金 や 決済用普通預金 が該当します。この預金は、全額保護されます。
2つ目は、定期預金、普通預金などの、元本保証型の預貯金 です。この預金は、全額保護ではありません。金融機関ごとに、1人1,000万円までとその利息が対象 となります。
例えば、1億円を持っていたとして、ぜんぶ保護したければ、10個の金融機関に1,000万円ずつ分けて預ければいいです。
ゆうちょ銀行の場合、預入限度額は、通常貯金1,300万円、定期性貯金1,300万円の合計2,600万円ですが、預金保険制度の対象になるのは 1,000万円までだけです。
なお、外貨預金は上の2つのどちらにも該当しないため、預金保険制度の対象外です。
参考外部リンク
日本投資者保護基金
銀行のケースを見ましたが、証券会社の場合はどうなるのでしょう。投資用の資金を預けたり、その資金で株や債券を売買しますが、証券会社が破綻した場合に、これらのお金や資産はどうなってしまうのでしょう。
証券会社の場合、私たちの資産(預けた資金や、購入した金融商品)は、証券会社自身の財産とは分離して管理されることになっています。このような管理のことを、分別管理 といいます。
分別管理が守られているので、基本的には、証券会社が破綻しても、自分の資産に影響はありません。資産の返還を求めることができます。
しかし、もし何らかの理由で証券会社が分別管理を行っておらず、証券会社が破綻し、しかも、自分の資産に影響があったとしましょう(例えば、預けた資金が勝手に流用されて、なくなっていた、とか)。
このような場合に、日本投資者保護基金 が、1人当たり、1,000万円までを補償する仕組みがあります。
投資家の資産は、分別管理と日本投資者保護基金の2つによって守られている、といえます。
日本投資者保護基金が保護するのは、株式、債券、投資信託やその取引に関するお金です。海外の株式、債券、投資信託(外貨建てMMFを含む)も対象です。しかし、FXの証拠金などは保護の対象外です。
参考外部リンク
銀行で投資信託を買った場合
銀行では、投資信託を買うことができます。
銀行で買った投資信託も、分別管理はされます。なので、原則、銀行が破綻しても投資信託は保護されています。
ただ、銀行は日本投資者保護基金に加入していないので、日本投資者保護基金の補償の対象外です。
問題を解いてみましょう
ここまでの内容を踏まえて、問題を解いてみましょう。〇か×か、答えましょう。
例題
預金保険制度の対象金融機関に預け入れた決済用預金は、預入金額にかかわらず、全額が預金保険制度の保護対象となる。
Answer
〇
決済用預金は全額保護対象です。
例題
日本国内に本店のある銀行が取り扱う外貨預金は、円貨換算額 1,000万円までとその利息等の合計額が預金保険制度の保護対象となる。
Answer
x
外貨預金は預金保険制度の保護対象外です。一方、普通預金や定期預金などは、1金融機関ごとに、元本 1,000万円までとその利息が保護対象となります。
セーフティネットの由来
セーフティネットとは、もともとは、サーカスの綱渡りや空中ブランコの下にある、落下時に備えられた網のことです。