リスクマネジメント
ここでは、リスクのコントロールの仕方などについてみていきます。
リスクマネジメント
人生には、思いもしなかったことが起こってしまうことがあります。病気になったりケガをしたり、事故や災害にあってしまったり、などです。
このような、「将来損失の発生するできごとが起こってしまう可能性」のことを、リスク といいます。
個人の生活や企業の事業活動にはさまざまなリスクがありますが、大きく分ければ次の3つに分けられます。
- 人に関するリスク
- 病気、けが、死亡、労災事故(企業の場合)など
- モノ・財産・収入に関するリスク
- 災害、盗難、失業・休業など
- 損害賠償に関するリスク
- 自動車事故、業務上の事故(企業の場合)など
これらのリスクをどうするか、つまり、リスクをどうやって減らし、もし損失が発生してしまったらどうするか、をあらかじめ考えておくことが重要です。
このように、リスクを管理する手法のことを、リスクマネジメント と呼びます。
リスクマネジメントの手法は、大きく分けると、リスクコントロール と リスクファイナンシング に分類できます。
リスクコントロール
リスクコントロールとは、リスクの発生を事前に予防したり、もし損失が発生しても拡大を抑えて最小限にとどめるための手法 のことです。
次のような手法があります。どれか1つだけを選ぶ必要はなく、メリット・デメリットを比較して組み合わせてコントロールします。
リスクの回避
リスクの回避とは、リスクの発生源とのかかわりを断つことです。
例えば、車の事故を起こさないために車の運転をしないようにする、火事にならないように家で火を使わないようにする、といった方法です。
リスクを回避することでリスクは除去できますが、同時にそれによって得られるメリットも手放すことになるのが一般的です。
リスクの制御
リスクの制御とは、損失を発生しにくくしたり、損失の拡大を予防することで、損失の規模を小さくすることです。
車の運転であれば、事故を起こさないように交通ルールを学んだり、シートベルトを締めるなどがあります。火事であれば、ストーブから燃えやすいものを離すとか、消火器を備えておくなどがあります。
リスクの分散
リスクの分散とは、リスクの原因を分散させることで、損失の規模を小さくすることです。
例えば、飛行機に乗る2人のパイロットは、食事のメニューが違う、という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、2人が同じものを食べて2人とも食中毒を起こしてしまうリスクを避けるためです。別々のメニューを食べることで、リスクを分散させています。
リスクの移転
リスクの移転とは、損失が発生しそうなものを自分で持たずに他人に保有させることです。
地震が発生すると家が崩れてしまう可能性があるので、購入せずに賃貸にする、というのは、リスクの移転の例です。
リスクファイナンシング
リスクファイナンシングとは、リスクによって引き起こされた経済的損失をコントロールする方法 のことです。
次の2つの方法があります。
リスクの保有
リスクの保有とは、損失の発生に対して、経済的影響を自分で負担する方法 です。
個人の場合、預貯金などで対応します。企業であれば、預貯金の他に、引当金などでも対応します。業種によっては、引当金を積み上げることが義務化されている場合もあります。
リスクの移転
リスクの移転とは、損失の発生に対して、経済的影響を他人に負担させる方法 です。
主な方法は、保険 です。損失を保険会社などに移転することで、自分の負担を軽減したり、なくすことができます。
FP3級の試験では、この 保険 について、詳しく問われることになります。
リスクマネジメントにおける保険の活用
私たちの生活にはさまざまなリスクが潜んでいます。これらの中には、保険で対応できるものもあります。
20代では、アクティブに動く人もいるでしょう。そうすると、ケガをしたり事故に巻き込まれるリスクもあります。これらに備える保険として、医療保険、自動車保険、賠償保険などがあります。
30代では、結婚をして子どもができる人もいるでしょう。そうすると、病気や死亡によって収入が減ったりなくなったときに困るリスクがあります。これらに備える保険として、死亡保険、所得補償保険、学資保険などがあります。
40代では、家を購入する人もいるでしょう。そうすると、家が火災や地震で失うリスクがあります。これらに備える保険として、火災保険や地震保険などがあります。
50代以降では、老後に備える準備が必要です。長生きするのはいいことですが、その分、老後の生活費がかかります。公的年金だけでは足りないリスクがあります。これらに備える保険として、個人年金保険や介護保険などがあります。
それぞれの保険については、別ページで詳しく見ていきます。
保険はリスクに備えるために役立つツールですが、もちろん、費用が掛かります。すべてのリスクに備えるには、費用面で大きな負担となってしまいます。社会保険で足りない分を中心に、費用対効果を考えながら保険を選ぶようにしましょう。
リスクは分野によって意味が異なる
FP3級の試験を含め、一般には、リスクは「悪いことが起こる可能性」を指します。しかし、分野によっては、良いことが起こる可能性も含めた、「不確実性」を指す場合があります。