所得税の申告と納付

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源泉徴収制度

源泉徴収

原則として、所得税は申告納税方式です。自分で税額を計算し、税務署に申告する必要があります。

しかし、給与所得者の場合は、会社が給与から見込みの所得額を天引きし、翌月の10日までに納付する 源泉徴収制度 があります。

翌年のはじめに所得が確定すると、源泉徴収された所得税との過不足を調整する年末調整を行い、精算します。このため、所得が給与所得だけの人の場合は、確定申告をすることなく所得税の納税が終了します。

給与所得以外に、利子所得、配当所得、退職所得、公的年金にも源泉徴収制度が採用されています。

源泉徴収票

会社員などの給与所得者の場合、年末調整後に1年間の給与や源泉徴収された額などが書かれた 源泉徴収票 が会社から渡されます。

確定申告制度

確定申告

確定申告とは、納税者が1月1日から12月31日までの1年間の所得額や所得税額を計算して確定し、申告する制度のことです。

確定申告は、所得が生じた年の翌年2月16日から3月15日までに、住宅地を所管する税務署に提出します。オンライン(e-Tax)で申告することもできます。

2021年は4月15日までに延長されていました

2020年の所得税を申告する期間は、2021年3月15日まででしたが、新型コロナの影響により、4月15日まで延長されていました。

会社員などの場合、源泉徴収・年末調整があるので、確定申告をしなくてもかまいません。ただし、以下のどれかに該当する場合は、確定申告が必要です。

  • 年収が2,000万円を超える
  • 給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える
    • 副業による所得(雑所得)などが20万円を超える場合など
  • 給与を複数から受けている
  • はじめて住宅ローン控除を受ける(2年目以降は年末調整で還付される)
  • 他、各種控除を受ける

所得税の納付

所得税は自分で計算した結果に基づき、自分で納税します。確定申告書の提出期限までに納付します。納付が遅れると延滞税が発生します。

また、源泉徴収された額が実際の所得税より多い場合は、納税ではなく、還付の申請を行います。確定申告書を提出してしばらくすると、指定した口座に還付金が振り込まれます。

修正申告と更正の請求

確定申告をした後に間違いに気づいた場合は、修正申告や更正の請求を行う必要があります。

申告した税額が実際の税額より少なかった場合、修正申告 を行います。確定申告と似た書類を作成し、差額分に過少申告加算税を合わせて納税します。

申告した税額が実際の税額より多かった場合、更正の請求 を行います。差額が戻ってきますが、利息はつきません。また、5年以内に申告する必要があります。

準確定申告

亡くなった人に所得があった場合、相続人は相続があったことを知った日の翌日から 4か月以内 に、亡くなった人の所得を申告しなければいけません。

これを、準確定申告をいいます。

青色申告制度

青色申告制度 とは、個人事業主などが正規の簿記の原則に従って貸借対照表などを作成して所得額などを申告する場合に特典を受けられる制度 のことです。

なぜ青色申告?

昔は、申告用紙が青色だったため、「青色申告制度」という名前がついています。しかし、今はオンラインでも申告できるので、名前だけが残っている状態です。

青色申告の対象者

青色申告制度が利用できる人は、業務によって、不動産所得、事業所得、山林所得のどれかを得ている人です。

青色申告制度を行おうとする人は、事前に、青色申告承認申請書を税務署に出してく必要があります。

青色申告者の特典

青色申告特別控除

青色申告者は、事業所得を得ている人が、正規の簿記の原則にしたがって貸借対照表などを作成すると、青色申告特別控除として、55万円の控除 が受けられます。また、e-Taxの利用など、他の条件を満たせば、55万円ではなく 65万円の控除 を受けることもできます。

簡易簿記を使っている場合、不動産所得(事業的規模ではない)や山林所得を得ている場合は、10万円の控除 となります。

青色事業専従者給与

青色事業専従者給与とは、事業に携わっている家族に支払った報酬を、必要経費として青色申告者の所得から控除できるものです。

通常、家族に支払った報酬は必要経費に入れることはできませんが、青色申告者の場合は、一定の条件下では、控除することができます。