個人事業税
個人事業税
個人事業主が事業を行う上で行政サービスを利用していることから、個人事業主に対して、個人事業税 が課せられます。自分のマンションを貸して家賃収入を得る、いわゆる大家さんも、個人事業税が課せられます。
個人事業税は、事業所得・不動産所得に対して課税されます。税率は、事業内容によって異なります。ほとんどの事業がカバーされていますが、事業によっては課税されない場合もあります。課税対象の事業一覧と税率の対応は、都道府県によって異なる可能性がありますが、東京都の場合は以下のサイトのようになっています。
参考外部リンク
個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局 の「法定業種と税率」の部分
ちなみに、大家さんは、第1種事業の「不動産貸付業」に該当します。
個人事業税は、地方税(都道府県税)です。事業がどの業種に該当するかは、都道府県によって微妙に基準が違います。地域により不公平感があり、また業種によって不公平感もあることから、課税側は「業種で分けずに一律5%にしたい」と要望しています。しかし、課税される側からは反対の声が予想されます。
個人事業税のかかる事業を始める場合は、「事業開始等申告書」を都道府県の税事務所に提出しておく必要があります(都道府県によって名称が異なる可能性があります)。この申告書は個人事業税にかかわるものなので、開業届(国税である所得税に関するもの)とは別に提出する必要があります。
個人事業税の税額の計算
個人事業税は、以下のようにして計算します。
個人事業税の計算式
(事業所得・不動産所得 + 青色申告特別控除額 - 繰越控除額等 - 事業主控除額) x 税率
上の式では、所得に青色申告特別控除額を足していますが、これは個人事業税には「所得税の青色申告特別控除額」が適用されないためです。事業所得・不動産所得を計算するときにこの控除を適用している場合は、戻す必要があります。
繰越控除は、事業所得や譲渡所得(事業に関する資産)の損失の繰越控除のことです。
事業主控除額は、年間290万円です。290万円に満たない場合は、個人事業税は0円となります。事業を行った期間が1年に満たない場合は、事業を行った月数で月割りをします。
税率は、先ほども見た、業種別の税率で計算します。複数の事業にまたがっている場合は、加重平均で計算します。
個人事業税の申告と納付
個人事業税は、毎年3月15日までに、前年の事業の所得などを都道府県の税事務所に申告書を提出する必要があります。ただし、所得税の確定申告書を提出した人は、申告書を提出する必要はありません。
都道府県が納税額を計算する賦課課税方式です。納付書が8月ごろに送られてくるので、8月末と11月末の2回に分けて納付します。
問題を解いてみましょう
ここまでの内容を踏まえて、問題を解いてみましょう。
例題
個人事業税を計算するときには、事業の所得から、事業主控除として(???)を控除することができる。
a. 55万円
b. 65万円
c. 290万円
Answer
c
事業主控除の額は290万円です。
例題
個人事業税の納税義務者は、原則として、その年分の所得および納付すべき税額を記載した申告書の提出とその納税を翌年の3月15日までに行わなければならない。
Answer
×
所得を申告すべきですが、税額は申告する必要はありません。都道府県が税額を計算する賦課課税方式だからです。また、納税は翌年の3月15日までではなく、翌年の8月末と11月末です。