所得税の仕組み
所得税
確定申告
毎年、1月から3月頃に「確定申告はお早めに」といったCMやポスターを見かけることはないでしょうか。
あの 確定申告 は、正式には 所得税の確定申告 です。所得税を計算して確定し、申告・納税する ことをいいます。
日本では、所得に対して 所得税 が課せられます。
所得 とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に得た収入金額から必要経費を引いたもの です。収入と所得は似ていますが、所得は実質的な儲けを表していると考えられます。
所得を求める計算式
所得 = 収入金額 - 必要経費
日本国籍を持ち、日本国内に住所がある個人は、全員、所得税を納める義務があります。国内外で発生したすべての所得に対して課税されます。
なお、日本国籍がなくても、日本国内で暮らす期間によっては、納税義務が発生します。非居住者の場合は、国内で得た所得に対してのみ課税されます。
参考外部リンク
所得税は、申告納税方式であり、税額の計算は自分で行う必要があります。(会社員の場合は、会社が代わりにやってくれます)
作成した確定申告書は、住所地を管轄する税務署に提出します。このような、納税を行う場所を 納税地 といいます。基本的には、住所地が納税地となりますが、事前に申請しておけば、事務所を納税地にすることもできます。(会社員の場合は、会社の事務所が納税地になります)
収入金額
所得を計算するには、まず収入金額を計算する必要があります。
収入金額 は、その年のうちに収入として確定した金額のことを言います。実際に入ってきたお金以外に、未収入金 も含まれます。
必要経費
必要経費 とは、収入を得るために支出した費用のことです。
例えば、仕入れた商品を売って収入を得た場合、仕入れにかかった費用は必要経費に入ります。また、直接かかった費用でなくても、例えば、店の家賃や広告費、消耗品費なども必要経費に入ります。
個人事業主の場合は、収入を得るために使った費用なのか、プライベートで使った費用なのかわかりづらいものもあります。なんでもかんでも必要経費に入れていると、税務調査が来たときに指摘され、追徴課税を受ける可能性もあるので、ちゃんと説明できるようにしておく必要があります。
非課税所得と課税所得
基本的に、所得はすべて課税対象となりますが、社会的理由などにより非課税になる所得もあります。例をいくつかあげます。
- 給与所得者の通勤手当(月15万円まで)
- 障害者や遺族が受け取る公的年金
- 失業給付金
- 入院給付金など、ケガや病気で受け取る健康保険からの給付金
- 損害賠償金
- 損害保険金
通勤手当は、定期券などを購入するためのものなので、課税するのは変でしょう。他のものも、儲けるために得たものではないですし、課税は適切でないと考えられます。
他にも、次のようなものも非課税となります。
- 国内の宝くじの当選金
- 生活用品の譲渡による所得
- 相続、遺贈されたもの(所得税ではなく、相続税の対象)
- 個人から贈与されたもの(所得税ではなく、贈与税の対象)
参考外部リンク
所得税額の計算
総合課税と分離課税
所得税は、原則、すべての所得を合算し、これに対して税額を計算して、確定申告により税金を納める 総合課税 という方法で課税されます。
ただし、例外的に、分離課税 という方法で課税する所得があります。分離課税は、申告分離課税 と 源泉分離課税 の2種類があります。
申告分離課税 とは、他の所得と合算せず、分離して税額を計算し、確定申告によって税金を納める方法です。
源泉分離課税 とは、税金が天引きされて納税が完了する方法です。確定申告は不要です。
所得税の計算の流れ
所得税は以下のような流れで計算していきます。
- 所得を10種類に分け、それぞれの所得金額を計算
- 各所得金額を合算し、損益通算を行い、課税標準を計算
- 課税標準から所得控除を引いて、課税所得金額を計算
- 課税所得金額に税率を掛けて所得税額を計算
- 所得税額から税額控除を引いて申告税額を計算
復興特別所得税
2013年から2037年にかけて、所得税と合わせて 復興特別所得税 も納める必要があります。
この復興特別所得税は、「東日本大震災からの復興」の財源確保という目的で創設された、目的税です。
復興特別所得税は、所得税額に 2.1% を掛けたものになります。
例えば、預金のところで、利子には利子所得がかかることを見ました。このとき、昔は所得税が15%、住民税が5%かかるが、今はさらに復興特別所得税として0.315%も追加されることを見ました。この 0.315% は、
15% x 2.1% = 0.315%
から来ています。所得税が 15% かかり、その税額に 2.1% を掛けたものが復興特別所得税なので、利子所得の場合は、復興特別所得税が 0.315% 分かかることになります。
法人の所得には
ちなみに、法人の所得には、所得税ではなく法人税が課せられます。