外貨建商品

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ここでは、外貨、円高や円安についてや、外貨建ての金融商品についてみていきます。

外貨とは

日本で買い物をするときには、千円札などを使います。しかし、海外では日本のお札や硬貨は使えません。海外ではその地域で使う通貨が必要となります。

海外で使われている通貨を、外貨 といいます。日本での通貨の単位は円ですが、アメリカはドル、ユーロ圏ではユーロ、イギリスではポンド、中国では元といいます。国や地域によって、通貨の単位が異なります。

海外に旅行に行くときには現地通貨が必要ですが、海外のサイトでネットショッピングをしたリ、海外の金融資産に投資するときにも、現地通貨が必要になります。価格が円で表示されることもありますが、裏では、円から外貨へ交換する取引が行われています。

為替レート

外貨建商品(外貨で価格が表示されている商品)に投資したい場合には、基本的に、金融機関で、自分の持っている円を外貨に換える必要があります。

この円と外貨を交換するときに使う比率を、為替レート といいます。ニュースでも「1ドル100円で取引されている」などと耳にすることがあるでしょう。これは、1ドルと100円が交換されている、ということです。

円と外貨を交換するときには、手数料がかかります。

例えば、私たちが円を外貨にしたい場合、金融機関から見ると「外貨を売る」ことになります。このときに使う為替レートを、TTS といいます。Telegraphic Transfer Selling rate(電信売相場)の略です。私たちは、手数料の分だけ高いレートで外貨を買うことになります。

一方、私たちが外貨を円に戻したい場合、金融機関から見ると「外貨を買う」ことになります。このときに使う為替レートを、TTB といいます。Telegraphic Transfer Buying rate(電信買相場)の略です。私たちは、手数料の分だけ低いレートで外貨を売ることになります。

この TTS と TTB の中間の値を、TTM といいます。Telegraphic Transfer Middle Rate の略で、日本語では仲値(なかね)ともいいます。


例えば、TTS が「1ドル=110円」、TTB が「1ドル=108円」だったとしましょう。100ドル買いたい場合は、TTS を使って 11000円払うことになります。買った瞬間にこの100ドルを売った場合は、TTBを使って、10800円になるということです。

このケースでは、1ドルの売り買いによって、2円のコストがかかることになります。このことを、片道1円、往復2円のコストがかかる、などと表現することがあります。


ニュースで耳にする「1ドル100円で取引されている」というのは、外国為替市場でプロたちが取引している為替レートです。ここで取引されている金額は何億円ものお金が動いています。それに比べて、私たちが金融機関と売買する金額は小さいため、手数料も割高になっています。

金融機関が示す為替レートは、ニュースなどで聞く為替レートを基準に設定されていますが、金融機関ごとに異なっています。為替手数料も金融機関ごとに異なります。

現金はさらにコストがかかる

TTS や TTB で取引する外貨は、実際の現金(お札やコイン)を扱うわけではありません。

海外旅行をするときなどでは、外貨を現金で欲しいこともあるでしょう。このとき、金融機関側には現金を扱うコストが発生する(現金を調達・保管・管理するコストなど)ため、TTS や TTB よりもさらに高い手数料がかかります。

このため、例えば、外貨預金で1000ドルあったとしても、この口座からドル紙幣1000ドル分引き出せるわけではありません。現金を扱うための手数料が別途かかります。円預金と同じ感覚では扱えない点に注意しましょう。

円高と円安

ニュースや新聞でも、円高 とか 円安 といった言葉に触れることがあるでしょう。

一般に、「多くの人が欲しがるもの」は価格が上がります。そのため、例えば、みんながドルを欲しがれば、ドルの価値は上がります。こうなると、ドルとの交換に使う円の価値は相対的に下がります。このことを、円安といいます。逆に、ドルの価値が下がれば、円の価値は相対的に上がります。このことを円高といいます。


ニュースでは、「現在の外国為替市場では、1ドル110円で取引されています」などと言われます。これは、文字通りですが、1ドルと110円が同じ価値だということです。

もしこれが1ドル120円になれば、1ドルの価値が120円に上がった、つまり、ドルの価値が上がったということであり、相対的に円の価値が下がっているので、円安になった、といいます。

一方、1ドル100円になると、ドルの価値が下がり、相対的に円の価値が上がったので、円高になったといいます。

数値が大きくなると円安、小さくなると円高、となるのが少し直感的ではないかもしれませんが、よく出てくる言葉なので、慣れるようにしましょう。

外貨預金

外貨建ての金融商品の中で、一番オーソドックスなものは、外貨預金でしょう。

外貨預金 とは、外貨で行う預金のことです。普通預金や定期預金などがあります。金融機関によって、扱っている通貨や適用される金利が異なります。

一般に、円預金よりも外貨預金のほうが金利が高いことが多いです(というよりも、円預金が低すぎます)。また、預入のときよりも円安になれば、円に戻したときに為替差益が得られます。

一方、円高になれば、為替差損が発生します。また、預金保険制度の保護の対象とならないというデメリットがあります。為替手数料が高いというデメリットもあります。


税金は、利子に対して、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%がかかります。源泉分離課税なので、確定申告はしなくてもかまいません。

外貨を円に戻したときに、為替差益が発生した場合は、雑所得として課税(総合課税)されます。ただし、給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下の場合等は確定申告は不要です。為替差損が発生した場合は、他の雑所得と損益通算をすることができます。

外貨建てMMF

外貨建てMMFとは、外貨建ての公社債投資信託(株式を組み入れることができない投資信託)のことです。MMFは、マネー・マーケット・ファンドの略です。

外貨預金に比べると利回りが高めで、安全性の高い社債は国債で運用されているので、リスクは低めです。ただし、円の預金とは違って、外貨預金は元本が保証されていません。

購入時手数料はなく、信託財産留保額も徴収されないため、売買手数料がかかりません。ただし、為替手数料は必要です。

1万円程度から取引でき、積み立てをおこなうこともできます。

預金保護制度の対象外ですが、日本投資者保護基金の対象です(参考:セーフティネット)。


税金は、利子や分配金には、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%がかかります。源泉分離課税なので、確定申告はしなくてもかまいません。ただし、申告分離課税を選択することはできます。

譲渡益などには、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%がかかります。申告分離課税で、上場株式等と損益通算、繰越控除が可能です。