預貯金

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ここでは、預金や貯金に関して、商品内容や仕組みについてみていきます。

預金と貯金

預金 とは、銀行や信用組合に預けるお金のことで、貯金 とは、郵便局や農協に貯える(たくわえる)お金のことです。両方を合わせて、預貯金 と呼びます。

どちらも、預けたお金が減らない、元本保証型 の金融商品です。

銀行などにお金を預ける場合、通常、利息(利子ともいう)がつきます。

運用という観点で見ると、安全性が高いですが、リターン(利息)は低いです。

流動性と定期性

預貯金は、流動性と定期性に分けることができます。

流動性預貯金とは、期間の定めがなく、出し入れが自由な預貯金のことです。

一方、定期性預貯金は、6か月、1年、3年、10年などといった期間が定められていて、原則として、この期間を過ぎるまでお金を引き出すことはできません。そのかわり、流動性預金よりも高い金利が設定されています。また、期間が長いほど高い金利が設定されるのが一般的です。

今は超低金利環境なので・・・

教科書的には上のような説明になりますが、今は超低金利環境が続いており、流動性預貯金も定期性預貯金も、金利はそんなに変わりません。また、期間が長くても金利が変わらないことも多いです。

定期性預貯金は、原則、期間前に引き出すことはできませんが、金融機関によっては期間前でも解約することができます。その場合、当初の金利よりも低い中途解約利率が適用され、もらえる利息は減ってしまいます。

金利

お金を預けたときにつく利息は、元本(預けているお金)に 金利 という値を掛けて計算します。

一般的に、金利は、1年あたり、つまり、年利 で表されます。

例えば、年利 1% であれば、1億円預けると、1年間で「1億円 x 1% = 100万円」の利息がつくことになります。半年の場合は、1年の半分なので、利息も半分の 50万円となります。

金利には、適用金利が変わらない 固定金利 と、一定期間ごとに適用金利を見直す 変動金利 があります。

単利と複利

利息の計算方法には、単利複利 があります。

単利 では、トータルの利息は、1年間の利息に期間を掛けたものになります。

なので、元本と利息の合計、つまり、元利合計は、次のように計算します。

単利

元利合計 = 元本 × (1 + 年利 x 期間)

例えば、単利運用の場合、年利 1% で、1億円を3年間預けると、元利合計で
 1億円 x (1 + 0.01 x 3) = 1億300万円
となります。


複利 は、「利息にも利息がつく」という考え方で計算します。

例えば、複利運用の場合、年利 1%で1億円を預けるとしましょう。利息が1年に1回だけつくとすると、1年後には 1億100万円になります。この計算は、単利のときと同じです。

しかし、2年後の計算結果が異なります。単利の場合は、1億200万円になりますが、複利の場合は、1年目で得られた利息「100万円」にも利息がつく ことになり、この100万円にも1年後には利息1万円がつきます。結果として、2年後には 1億201万円 になります。

3年後では、複利の場合は、1億201万円を運用することになるので、103,030,100円となります。単利のときより 3万100円増えています。

このように、複利の場合は、今までの利息にも新しく利息がつくので、期間や年利が同じなら、単利よりも複利のほうがトータルで受け取る利息は多くなります


1年ごとに利息がつく複利のことを 1年複利 といいます。このケースでは、次のようにして元本と利息の合計を計算します。

複利(1年複利)

元利合計 = 元本 × (1 + 年利)年数

先ほどの例では、1.01を何度も掛けると計算結果が得られます。そのため、この式で求められることがわかるでしょう。


複利の場合、利息がつく期間が1年ごとではなく、半年ごとや毎月のものもあります。それぞれ、半年複利1カ月複利 といいます。

半年複利の場合、半年後に利息が付き、それにもまた利息がつくので、1年複利とはまた違った式になります。1年複利以外でも適用できるように式を書きかえると、次のようになります。

複利

元利合計 = 元本 × (1 + 年利 ÷ 年間利払い回数)利払い回数

年利 1%、複利運用で1億円を3年運用したとしましょう。このとき、年間の利払い回数は2回、トータルの利払い回数は6回なので、3年後の元利合計は

1億円 x (1 + 0.01 / 2)6=103,037,750.9…円

と計算できます。1年複利と比べると、半年複利のほうが利息が多いことがわかります。

預金保護制度

現代では、給与は手渡しではなく振込で行われることがほとんどなので、社会人ならどこかの銀行に1つくらいは口座をもっているはずです。ただ、この銀行がもし破綻(はたん)してしまうと、預けていた預金はどうなってしまうのでしょう。

こうした場合に備えて、預金保険機構 という組織が、私たちの預金を保護してくれています。ただし、すべての預金が守られるわけではありません。

全額保護される預金は、後で述べる「決済用普通預金」「当座預金」などです。「利息がつかず、いつでも引き出せて、決済に使える預金」だけ が対象です。

これ以外の預金、例えば、普通預金や定期預金などは、各金融機関について、1人1,000万円までが保護されます。また、破綻日までの利息も保護されます。

詳しくは、別のページの セーフティネット をご覧ください。

預貯金と税金

利息には、利子所得として税金がかかります。

以前は、所得税 15% と住民税 5% がかかっていました。2013年から2037年までは、復興特別所得税として、さらに 0.315% がかかります。

口座には、この税金が引かれた後の金額が振り込まれることになります。税金分は自動で引かれるので、利息に対して確定申告を行う必要はありません。


利息の計算例を見ておきましょう。

1億円を年利1%で、1年間預けたとします。税金がなければ、利息は100万円です。

この利息に対し、まず、所得税 + 復興特別所得税として、15.315% がかかるので、
 100万円 x 15.315% = 15万3,150円
が引かれます(1円未満があれば切り捨て)。さらに、住民税が
 100万円 x 5% = 5万円
かかります(1円未満があれば切り捨て)

合計、20万3,150円の税金が引かれるので、受け取れる利息は
 100万円 - 20万3,150円 = 79万6,850円
となります。

預貯金の種類

預金や貯金には、いろいろなタイプの商品が用意されています。あまりFP3級の試験には出題されませんが、代表的な商品とその特徴は知っておいた方がいいでしょう。

流動性預金

流動性預金(銀行の金融商品。出し入れ自由)には、以下のようなものがあります。

普通預金 は、変動金利で、半年ごとに利息が付く預金です。個人の場合は、給与の受け取りや公共料金・家賃・クレジットカードの引き落としなどに使っていることが多いでしょう。

貯蓄預金 も、変動金利で、半年ごとに利息が付く預金です。一定額以上の残高があれば普通預金よりも高い金利がつく という特徴があります。ただし、決済機能はなく、公共料金の引き落としなどはできません。

決済用普通預金 は、利息が付かない、決済用の預金です。無利息型普通預金ともいいます。利息が付かない代わりに、銀行が倒産しても、全額が保護されます。

当座預金 は、小切手や手形の決済に使う預金で、利息は付きません。法人向けの商品です。銀行が倒産しても、全額が保護されます。

定期性預金

定期性預金(銀行の金融商品。満期があり期間内は引き出せない)には、以下のようなものがあります。

スーパー定期 は、固定金利の定期預金です。預入期間が3年未満なら単利型、3年以上なら単利型と半年複利型が選べます。原則、満期までは引き出せませんが、もし中途解約する場合は、中途解約利率が適用されます。

大口定期 は、1000万円以上で契約できる定期預金です。固定金利の単利型です。金利は銀行と直接交渉して決めます。

期日指定定期 は、期間ではなく満期日を指定する定期預金です。固定金利で1年複利です。1年間の据え置き期間があり、それ以降の好きな日を満期日に指定することができます。

流動性貯金

流動性貯金(ゆうちょ銀行の金融商品。満期がなく、出し入れ自由)には、以下のようなものがあります。

通常貯金 は、変動金利で半年ごとに利息が付きます。預入限度額は1,300万円まで となっています。

通常貯蓄貯金 は、変動金利で、半年ごとに利息がつきますが、一定額以上の残高があれば通常貯金よりも高い金利がつく、という特徴があります。ただし、決済機能はなく、公共料金の引き落としなどはできません。銀行の貯蓄預金に対応するものです。

振替貯金 は、利息が付かない、決済用の貯金です。利息が付かない代わりに、全額が保護されます。銀行の決済用普通預金に対応するものです。

定期性貯金

定期性貯金(ゆうちょ銀行の金融商品。満期があり期間内は引き出せない)には、以下のようなものがあります。

定期貯金 は、固定金利の貯金です。預入期間が3年未満なら単利型、3年以上なら半年複利型です。原則、満期までは引き出せませんが、もし中途解約する場合は、中途解約利率が適用されます。スーパー定期に対応するものです。

定額貯金 は、固定金利で、最長10年間、半年複利で利息がつきます。利息は満期に一括払いされます。半年間の据え置き期間があり、その後はいつでも自由なときに解約できます。

なお、定期性貯金は、預入限度額は1,300万円まで となっています。

問題を解いてみましょう

例題

6カ月満期、利率(年率)1%の定期預金に1,000,000円を預け入れた場合、満期時の元利合計額は(???)となる。ただし、手数料や税金は考慮しないとする。

a. 1,005,000円
b. 1,006,000円
c. 1,010,000円

Answer

a
年利1%なので、100万円を1年預けていたら、1万円の利息が付きます。この問題では、期間が6か月なので、半分である 5000円の利息が付きます。よって、元利合計は 1,005,000円です。

例題

200万円を3か月間運用した結果、202万円となった。この場合の単利ベースで年率換算した利回りは、(???)% である。

a. 2
b. 3
c. 4

Answer

c
単利で考えると、3か月で2万円の利息がつくということは、1年では8万円の利息がつくということです。200万円に対して、1年間で8万円の利息がつくので、
 8万円 ÷ 200万円 = 4%
と求められます。

例題

300万円を年利1%(1年複利)で2年運用した場合の元利合計は、(???)円である。ただし、手数料や税金は考慮しないとする。

a. 3,020,100
b. 3,060,000
c. 3,060,300

Answer

c
複利では、利息にも利息がつくため、1年後には 1.01倍、2年後には 1.012倍となります。なので、元利合計は
 300万円 x 1.012 = 3,060,300円
と求められます。

例題

100万円を年利2%(1年複利)で3年運用した場合の元利合計は、(???)円である。ただし、手数料や税金は考慮しないものとし、1年未満は四捨五入するものとする。

a. 1,060,000
b. 1,061,208
c. 1,082,432

Answer

b
複利で運用するので、元利合計は
 100万円 x 1.023 = 1,061,208円
と求められます。